楷書体と行書体について
楷書体
楷書体は字を省略しないで、一画一画書く書体のため、役所に提出する書類や、改まった文章を書くときに使われます。
日本の教育ではこの楷書体を、小学生の頃からみっちり教えられるため、多少字を省略した行書体であっても、読み書きは苦になりません。
もともと、楷書体は中国の漢の時代に使われていた「隷書体 れいしょたい」を簡単にして、書きやすくするために作られた書体です。
だいたい隋〜唐の時代に一般的に使われるようになり、中国の有名な書家による作品が多く残っています。
*隷書体は、普段あまり目にしたことがないと思われがちですが、実は毎日のようにお世話になっているのです。
それは、お札の表と裏に一つずつ印刷されている丸い朱印です。これを見ると、普段使う漢字としては、かなり書きずらいことがよくわかります。
行書体
行書体は一番私達の生活になじみのある書体で、楷書体が一画一画正確に書くのに対して、字の一部を続け書きする書体です。
行書体は、楷書体を早く書くために出来たと思われていますが、実際はそうではありません。
もともと、隷書体を早く書けようにするため作られたのが行書体で、中国では楷書体よりも、約100年ほど早く普及していました。
つまり、隷書体をわかりやすく書きやすいものにしたのが楷書体で、日常生活の中で使いやすく、なおかつ早く書けるように工夫されたのが、行書体といえるのです。
両方とも、隷書体を起源にしているのですが、漢字の書体としては別の系統になっています。
日本では、密教で有名な真言宗の空海と、天台宗の最澄の手紙のやり取りも、行書体が使われていました。
中国ではこの行書体の他に、てん書体、隷書体、楷書体、草書体など大きく分けると5つの書体があり、それ以外にもいくつかの書体が、使われていたようです。
ちょうど日本に漢字、ひらがな、カタカナなどがあるように、漢字の母国である中国は、漢字一つでも様々なバリエーションがあったようです。
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